鞄の中に入れる底板です。前回の投稿「内縫い口枠鞄(1)」が長くなってしまったので、別記事に分けてご紹介します。
まず、芯材となる樹脂製の板をカッターで切り出します。あらかじめ、角から10mmほどの所に底鋲を通す円い孔を打ち棒で空け、樹脂板の四角は半径5mm程度の面取りをしておきます。
樹脂板の表面はツルツルしていますが、粗めの紙ヤスリをかけて表面を軽く荒らしておくと、このあとの工程でゴムのりが付着しやすいです。
次に、芯材よりも四周1cmほど大きく切り出した豚革を2枚用意し、ゴムのりで樹脂板の両面に貼り合わせます。貼り合わせたらローラーを使ってしっかりと圧着します。樹脂板の端部と豚革の間にも、空隙ができないようにヘラを当てて圧着します。
乾いたら、厚みが段になっているあたりを狙って菱目打ちで孔を空け、縫っていきます。
結構縫う長さがあるので、作業しやすさを考えて、長手の中央から縫い始めてぐるりと半周縫い、終えたら針に糸を付け直して反対側ももう半周縫います。
豚革は柔らかいので、コシのあるイタリアンレザーに較べてきれいに縫うのがちょっと難しいです。
こんな時に手縫い用のレーシングポニー(革を挟み込んで固定できる台)があると良さそうですが、持っていないので篆刻用の卓上万力で代用しました(^_^;)
縫い終えたら、端部をカットして整えます。端部の仕上げは、切断面にトコノールを塗って、コバ磨き棒で擦って仕上げました。
最後に底鋲を通すため、樹脂板に空けておいた孔の位置に合わせて打ち棒で孔を空けます。鞄本体の底面にも同じ位置に孔を空けて、底鋲を通します。
底鋲はネジ式を使うと、もしもの時にメンテナンスしやすく、擦り減ったら交換もしやすいです。3年ほど毎日のように使って一度だけ緩んで外れたことがありますが、ドライバーで締め直せるので悪くないと思います。
底鋲は、エムアンドケイヨコヤさんのKA-404-12の真鍮生地をよく使っています。シンプルな半球形で、デザイン的にも扱いやすいです。ネジの長さが通常は7mmですが、底板と底革の厚みを考えて、お店でネジの長さを10mmに交換していただけて大分助かりました。
鞄の底板(2021.04)
豚革、樹脂板、蝋引き糸