華の宿 ふくや
秋の連休に訪れた箱根芦ノ湖畔の旅館にて、窓辺の安楽椅子にゆったり座りながらつい描いてしまった、窓まわりの実測スケッチです。
部屋に入ると正面に見える大開口は400mmほどの腰壁とやや深めの窓の抱きが効いていて、窓まわりの一角だけ低く抑えられた天井高と相まって巣の中に守られたような感覚がとても居心地良く、芦ノ湖と箱根駒ヶ岳を望む絶景を眺める特等席になっています。
開口部を必要以上に大きく開けすぎず、300mmの垂壁を設けて風景を絵画的に切り取っているのも効果的です。スケッチでは意図的に換気・通風用の片引窓を点線で誤魔化していますが、もし片引窓を別の位置に設けられれば駒ヶ岳への眺望がよりきれいに見え、その一点だけ少し惜しいと思いました。
部屋全体の天井高は2400mmですが、窓辺の三畳半のスペースだけ天井高が2100mmと低く抑えられ、天井高に差異をつけることで窓辺の空間により身体的なスケールの居場所をつくり出しています。
また泊まりに来たくなる、とても居心地良い旅館でした。すっかりのんびりしすぎてしまい、描いたのはこの一枚だけです。平面は測り忘れてしまいました。温泉気分で心身共にたるんでおります。
size:A4 画用紙 油性ペン・水彩