箱根の夏(3)

塔ノ沢駅

二つの隧道に挟まれた秘境のような駅
子供の頃の夏休みに家族で訪れました
ホームのベンチに腰掛けて皆で食べた
小鯵の押寿司弁当の味を思い出します

もうかれこれ四半世紀前のことですが
駅は何も変らずそこに在り続けており
変らず在ることの有難さを噛みしめて

旅の最後にこの駅で途中下車したのは
最初からここに来たかったからなのか
或いはあの日に帰りたい願望の現れか

由もなく隧道に問いかけてみましたが
ただ茫々とした深淵が在るのみでした


size:A4 画用紙 油性ペン・水彩

ヴィフアール水彩紙(中目)