ルーズリーフを使って楽器のミニチュアを作ろうという思いつきから、いろいろと試行錯誤を重ね、まず最初にヴァイオリンを作りました。
その制作過程をご紹介したいと思います。
各部材の切出しと組立て
左から、①型紙 ②表板(裏側から) ③裏板と側板・ネック ④組立てた状態
①型紙作り
まず表板の形を書いて型紙を作ります。
ルーズリーフを適当な大きさに切って半分に折り、製図用の細いシャープペンシル(0.3mm位)で胴体の縦半分の形を書きます。ハサミで切り抜いて広げると左右対称の形を切り出せます。
これはそのまま使わず、別の紙になぞって使い、表裏が同じ形になるようにします。
②表板
ルーズリーフは一枚だとぺらぺらの薄い紙ですが、木工用ボンドで貼り合わせることで適度な厚さに仕上げることができ、さらに弦楽器特有の膨らみを表現することもできます。
ヴァイオリンの場合、2枚のルーズリーフを木工用ボンドで貼り合わせ、乾く前に指で曲げて整形しています。チェロの場合は3枚ほど貼り合わせます。
外周部は平らなので、縦横両方向に根気よく曲げ、端部は押えて平らにすることがポイントです。
ボンドが乾いてから、針と30°カッターでf字孔を開けていきます。両端の円い穴はミシン針で孔を開けています。
写真はバスバーも取り付けていますが、これは組立ててしまうと見えないので、完全な自己満足の世界です^^;
③裏板と側板
裏板も同様に膨らみを出し、側板をまず裏板側に貼っていきます。側板もルーズリーフを2枚貼り合わせて短冊状に切り、ボンドが乾く前に裏板に接着していきます。
ポイントは中央付近の尖った所で、ここはピンセットを使って押えて、しっかり角を出します。さらに内側に側板のパーツをもう一枚貼り補強していきます。
ネックを取付ける所は側板を何回か巻いて補強しています。ネックをしっかり固定するために、表板を取付ける前にネックを胴体に接着します。最後に表板を貼ります。
写真のネックは少し大きくなってしまったので、後で少し削って調整しました…
乾かす
組立て終わったら、一日ほど吊るして乾かします。
塗装
エナメル塗料を調合して、最初は白木のような色味、それからニスの色味に少しずつ塗り重ねていきます。
私が使っているのはタミヤカラーのエナメル塗料で、クリヤー系のオレンジ、イエロー、レッド、スモークを混ぜて、ほんの少し不透明色のフラットブラウンを足すと自然な感じに仕上がります。このへんはさじ加減です^^;
ピンセットでネックを持って、細い筆で丹念に塗り重ねて行きます。
だんだん濃くなってきました。グラデーションを表現するために、塗り重ねの後半は中央付近だけ塗り重ねて、上下は途中の色を残しています。
オーケストラになった時にそれぞれの楽器に個性や物語性が出るように、色合いや古さなど、ひとつひとつ違うように仕上げています。
最後に、ペグボックスの所に待ち針で孔を4つ開けます。
ペグと指板の取付け
ペグ(糸巻き)は、3枚ほど重ねたルーズリーフからカッターで切出します。くしゃみしたら確実にいなくなります…
指板も同様に3枚ほど重ねて切出し、塗装して貼り合わせます。こちらもボンドが柔らかいうちに、短手方向にやや丸味をもたせます。
先に開けた4つの針穴にペグを挿して、ボンドで固定します。
最後に駒を立て、弦を張って完成です。
弦はさすがにルーズリーフでは表現できなかったので、細めのポリエステル製のミシン糸ですが、一番右側の細いE線だけはさらに一手間加えて、撚り合わされた糸を解いて単糸にして使っています。
糸にもちょっとしたポイントがあります。そのまま使うと波打ったり毛羽立ちが気になるので、透明なニスを付けてまっすぐ伸ばします。
ミニチュアヴァイオリン
素材:紙(ルーズリーフ)、ミシン糸、エナメル塗料