ちいさなバロックコンサート

制作途中のオーケストラ作品のなかからバロック楽器の奏者を3人選んで、「ちいさなバロックコンサート」と題して第74回藤沢市展へ出展しました。

音量の小ささや調弦のピッチの違いゆえ、現実にはオーケストラの編成には入らない楽器たちですが、そこは「音のない音楽」、編成上のリアリティよりも物語性を大切にしたいので、時代を超えてさまざまな楽器が一堂に会するオーケストラを作ってみたいな……と思っています。

リュート

リュートは、ルネサンス〜バロック期に宮廷音楽や室内楽、ソロ楽器としても隆盛を極めました。演奏会場の拡大に伴って、音量の大きいギターやチェンバロに取って代わられ衰退した楽器ですが、その繊細な響きは今なお多くの人を惹きつけてやみません。

繊細な響きや形の可愛らしさ、一番高音の弦以外は2本一組の複弦になっていたり、低音弦がオクターブの複弦で音階状に並んでいるなど、非常に興味深い楽器です。弦の数が多いので演奏前の調弦にものすごく時間を要します。

ヴィオラ・ダモーレ

こちらも、同時期に生まれたヴァイオリン属に較べて音量の小ささから衰退していった楽器です。直訳すると「愛のヴィオラ」。

大きな特徴は、演奏する弦の下に共鳴弦が張ってあり、それにより甘みのある音色が得られることです。写真では見づらいですが、一応、共鳴弦まで再現しています。

演奏弦と共鳴弦がそれぞれ6〜7本ずつあり、ペグ(糸巻き)の数が異様に多いのはそのためです。

ヴィオラ・ダ・ガンバ

ガンバ属の楽器です。音域はチェロに近いですが、チェロのようなエンドピンは無く、両足に挟んで演奏します。また、弓の持ち方がチェロとは異なり、手のひらが上向きになるように弓を持ちます。

形はチェロよりもコントラバスに近いですが、実はコントラバスはヴァイオリン属ではなくこちらの仲間だそうです。裏板が平らなのも共通しています。

ちなみに現代楽器のヴィオラはヴァイオリン属。ややこしいですね^^;

公募展への出展は初めてでしたが、ご来場いただいた方々、審査員の先生方に嬉しいコメントをたくさんいただき、とても励みになりました。この場を借りて御礼申し上げます。


ちいさなバロックコンサート

素材

(人形部分):紙(ルーズリーフ)、ファンド、つまようじ、エナメル塗料

(楽器部分):紙(ルーズリーフ)、エナメル塗料、ミシン糸

(台座):アガチス材、オイル塗布

✢第74回藤沢市展 美術の部(工芸部門)

 市議会議長賞受賞