縫わない革小物の4作目です。作り方は最初に作ったベルトポーチを応用してプロポーションを横に引き伸ばした(Dubをかけた)だけですが、側面のカシメは1箇所のみとし、留め具にギボシを使用しています。
ここに来て気がついたのですが、最初のベルトポーチ以降4作に共通しているのは、パーツ分けを極力少なくして、一枚の革を折って立体的な形をつくっている点です。
厚みのある革を折り込むことで張りと3次元的な立体感が出て、柔らかみのあるフォルムになっています。テントのような膜構造にテンションをかけて張りと強度を出す感じに近いかもしれません。
小物に限らず、このあと作る革鞄などにも同様の手法を用いることになります。一枚革のメリットは継ぎ目がないため最小限の金具で済み、継ぎ目からのほつれなど強度上の弱点が少ないこと。また金具を外せば一枚の平面に戻るので、金具の痕や穴の開いた所は使えませんが、使わなくなったら解体して再利用できる可能性もあります。一枚の反物を単純な形に裁断して作る着物の考え方にも似ている気がします。
話が脱線しましたが、細長い形状に合うようフラップ(蓋)の曲線を検討し、材料も浅草橋の革屋さんに行っていろいろな革で試してみました。
深緑色の方はイギリスのブライドルレザーです。手で触るとものすごく硬いですが、カッターは意外にサクッと入り、思ったよりもいくらか裁断はしやすいです(それでも硬いのは確か…)。
フラップを開けたところ。ペン5〜6本、定規(小型の三角スケール)、消しゴムくらい入ります。
こちらのブライドルレザーは芯通し染めではなかったので、裁断した小口が革そのままの色でした。染料を混色して(ローパスバチックの青と緑を1:1くらい)近似色を作り、小端に塗って仕上げています。
こちらは色違いの2作目、イタリアンレザーのデロルトの赤色です。向かって右側面に小さいDカンを付けてストラップなどを結べるようにしています。
この写真では判りにくいですが、Dカンは蔵前の角田商店さんのNo.211の形が好きで良く使わせていただいています。こちらは一番小さなベルト幅12mmです。
この赤いペンケースを現在も使っています。革が伸びてきてフラップが緩くなり、たまに隙間からペンが出てきますが、そこは御愛嬌^^;
こちらはフラップを開けたところ。同じくデロルトの色違いです。
ペンケース(2018.07)
W190mm×D30mm×H60mm
ブライドルレザー(t=2mm)、イタリアンレザー(デロルトt=2mm)、ギボシ(大)・大カシメ・DカンNo.211-12mm(真鍮)