作り方はヴァイオリンの場合とほとんど同じですが、サイズが大きい分、細かい所まで作り込めるのが楽しいです。
塗装前の側面です。左からヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの順で並んでいます。
実際の楽器と比べてヴィオラとチェロのサイズ感が近いのは、オーケストラとして並べた時に、どちらかというとヴァイオリンとヴィオラの差をはっきりつけるためと、演奏する人形の若干コミカルなプロポーションが関係しています。
パーフリングの再現
塗装〜指板とペグの取付まではヴァイオリンの場合と同じですが、このチェロのミニチュアでは外周部のパーフリングと呼ばれる象嵌模様を再現しています。
とはいえ、本物のように表板に溝を彫り込むことはできないので、まず一回り小さく切り出した表板の小口に、黒の油性ペンで(染み込まないよう注意しつつ)サッと塗った後、1mm位の幅に細く切ったルーズリーフを巻きます。
さらにもう一度黒ペンでサッと塗ります。最後に、ルーズリーフを2枚貼り合わせて同じく1mm幅に切った部材を、ボンドが完全に乾く前に巻いています。
透明色の塗装なので、よく見るとルーズリーフの罫線が3本、縦に走っています。
裏側です。メイプル材の杢模様を塗装で表現しています。もしくは赤茶色の水性ペンで木目を描くのも良さそうです。裏面もパーフリングを再現しています。
駒を立てる
次に駒を切り出します。少し厚みがほしいのでルーズリーフを3枚ほど貼り合わせ、今度はしっかり乾かしてから30°カッターで少しずつ整形していきます。
駒の切り抜き模様は、針を使って仕上げの整形をします。
駒が立ちました。このあと0号位の細い筆で駒を白木色に塗装します。タミヤカラーのエナメル塗料の場合、フラットホワイトにほんの少しだけレッドブラウンを混ぜると良い色合いになります。
テールピース
次にテールピースを作ります。重ね貼りして切り出し、柔らかいうちに針で穴を4つ開けます。そのあと塗装して、弦を通しやすいようにもう一度針で穴を広げます。
塗装してから穴を開けると硬くて穴を開けるのが大変で、しかも穴の小口が白く残ってしまうので、少し手間ですがこの順序が良いと思います。
先ほどの穴に弦(ミシン糸にニスを擦り込んだもの)を通し、テールピースの裏に、輪っかにした糸を接着して黒く塗装します。
エンドピン
貼り合わせたルーズリーフをカッターで細く切り出します。
少し長めに作ります。長さは後で人形を作る時に調整して、最終的にエンドピンが浮かないようにします。金色か銀色に塗装して、先端は人形にセットして切った後にもう一度塗装します。
エンドピンに先ほど作ったテールピースの輪っかを通して、弦を張って完成です。
次回は人形の制作過程と併せて、チェロのセッティングについてご紹介したいと思います。
ミニチュアチェロ
素材:紙(ルーズリーフ)、ミシン糸、エナメル塗料